日本の禅の精神を軸にした美的概念を追い求めて。
わび・さびといった日本の”禅”の精神に関係深い美意識に影響を受け、近年の山田茂は静けさ、素朴、余韻、不完全といった美学的概念を基軸とした作品に取り組んでいます。 生まれ故郷でもあり、現在居をかまえる岡山は、禅との関わりが深く、雪舟や良寛など、有名な芸術家や禅僧を輩出しています。そんな環境で育った山田は自然とその刺激に動かされているのかもしれません。
33歳まで岡山で暮らし、独学で絵を描いていました。その後、The Art Students League of New Yorkへの留学を機に、1999年から2004年までニューヨークで暮らします。多様な人種がひしめき合い、尽きることのない欲望に満ち溢れたニューヨークは、彼の創作表現を一変させます。ニューヨークでの時間は彼の心の中にある禅を呼び覚ますきっかけになったのかもしれません。 彼はこれまでのクラシカルな油彩による具象的な絵画表現を手放し、記憶にある断片的な色や形を抽象画で表現し始めました。それは同時に内面にある”美とは何か”についての探求でもあったのです。しかし美とは、普遍的に存在する観念ですが、普遍的定義ができないものとも言えます。彼の美の探求はその答えを見つけることよりも、むしろその問いを提示することに注力されています。
現在、ジーンズの元加工工場を改装した屋根の高い工房で数名のアーティストと共に創作活動をしています。そこは世界中のアート好きな人々から注目を浴びているアートの島“直島”行きの船が出港する宇野港というのどかな港町です。
瀬戸内の潮風に吹かれながら少しばかり歩くと多くの島々が見え、その景色は心を洗い流してくれます。
・1966 岡山県生まれ
・2004 The Art Students League of New York 修了
個展:
・2002-2004 FACIAL INDEX ニューヨーク
・2004-2009 Gallery Ms 岡山
・2004, 2009 MIU ART BOX 岡山
・2005-2010 Gallery Ms 岡山
・2011, 2003, 2015 Gallery Minato 岡山
・2015 « Sans quoi cinq vol.4 » Gallery Sans quoi 岡山
・2017 “山田 茂 2017 新作展” 岡アートギャラリー 岡山
グループ展:
・1993-1998 “HAKU NO KAI” Gallery Blanche 大阪
・1998 “Heat up” ふくやま美術館 広島
・1999 “Heat up” 広島県立歴史博物館 広島
・2000 “Fast Forward” Gallery 128 ニューヨーク
・2000 “Williamsburg Bridges Japan” Williamsburg Art & Historical Center ニュ ーヨーク
・2002-2004 “Salon 2002” Williamsburg Art & Historical Center ニューヨーク
・2004 “Exhibition of Works by Grant Winners” Cork Gallery ニューヨーク
・2005-2006 “北仲 open” 北仲White 神奈川
・2009-2010 “宇野現代美術展2” Gallery Minato 岡山
・2010 “Utopia/生物と植物の楽園” Sans quoi 岡山
・2010 第25回国民文化祭・岡山
・2010 "あかいわアートラリー2010” 岡山
・2011 岡山県民文化祭 “Living in Arts project” 岡山
・2017 MATIII「INTERNATIONAL ART FESTIVAL 2017」広島
受賞:
・2002 Nessa Cohen Memorial Grant
・2017, 2018 Sangetsu Wallpaper Design Awards 大賞
コレクション:
主なコミッションワーク: