お客様のカート

五月晴れ

5月の晴れはやや強い日差しと、緑の強い薫りの空気に包まれる。大陸から飛んでくる黄砂の影響が少なくなり、からりと晴れる。現在の日本人はこれを「五月晴れ」という。

しかし、五月晴れのこのイメージは明治以降に着いたもので、本来の五月晴れとは旧暦(太陰暦)の6月の晴れのことである。太陽暦と太陰暦ではひと月ほどの差があるため、旧暦の五月は現在の6月ごろである。 

旧暦の5月は北半球がもっとも太陽のエネルギーを受ける夏至のころになる。このころの日本は亜熱帯性の高気圧の北上と、流氷で有名なオホーツク海の影響を受けた冷たい高気圧の間に挟まれ気圧の谷となる。気圧の高い所から低いところに空気は押し出されるので風となり、この谷で北からの風と南からの風が衝突し、行き場のなくなった空気は上昇する。空気は上昇すると冷やされるので、空気が湿っていると水滴となり雲ができ雨が降りやすくなる。その状態が乱されにくくなると気圧の谷は停滞するため雨が降り続く梅雨となる。

日本の場合、梅雨は6月から7月にかけての期間が旧暦の5月に相当する。なので梅雨の雨のことを五月雨(さみだれ)という。梅雨の長雨にも晴れ間がある。湿度が高く、成長期の植物の匂いがもあっと息苦しい、そんな日である。本来はそんな梅雨の晴れ間のことを「五月晴れ」という。

梅雨は嫌われがちであるが、私は四季の中で一番好きである。雨に打たれた紫陽花が見事に生き生きとしているからである。梅雨は私に幸せを運んでくる。

そして、五月晴れ“も”五月雨“も心を和ませてくれるとても美しい響きの言葉である。

次号もご期待ください。

 

 

続く